ヲタク考察

「推しがいるから、今日も生きていける」 生活のハリとしての推し活論

イントロダクション

最近、すごいヲタクを見ました。
仕事で朝5時起きにもかかわらず、深夜のスペースを聞き、行ける範囲のイベントには欠かさず参加。
夜行バスをフル活用して東京と名古屋を往復しながら、それでもきちんと仕事をこなしている。まさに「推し活を生活のハリにしている」人です。

自分はこの姿を見て、心から尊敬しました。
推し活を「逃避」ではなく「生活の一部」として取り込んでいるヲタクは、人生の充実度が高い。そんな実感を強く持っています。

一方で、SNSを見ていると現場でネガティブなコメントを発し出禁になってしまうヲタクもいます。
そこまでいかなくとも、日々愚痴ばかりこぼしている人も少なくありません。
同じ「推し活」という行動をしているのに、どうしてここまで差が出るのか。
今回はその理由と、自分なりの考察をお伝えします。

コントロールできる部分を見極める

この差を生む要因は、「自分でコントロールできる部分を見極めているかどうか」だと感じています。

たとえば、イベントに参加した時。
上手くいくヲタクほど、自分なりの“楽しみポイント”をあらかじめ設定しています。
「この曲を聴けたら当たり」「この一瞬を見れたら満足」といったように、楽しみのハードルを下げておくのです。

この考え方が身につくと、極端に言えば「イベントに参加できただけで満足」になれます。
参加できる幸せ、推しを見られる喜び、それだけで心が満たされる。
だからこそ、ネガティブになりにくいのです。

一方、ネガティブに陥るヲタクは、自分の理想を推しやイベントに強く押し付けてしまいます。
「こうあるべき」「あの時みたいにしてほしい」
自我全開で期待を膨らませ、それが現実と違うと不満をぶつけてしまう。
それを演者や他のファンにまで向けてしまうことで、さらに現場の空気を悪くしてしまうのです。
しかし現実は変わらない。そしてまたSNSで愚痴を吐き、病んでいく。
このループに陥るヲタクを、何度も見てきました。

自分がネガティブにならなかった理由

自分自身はどうかと言うと、長年ヲタ芸を中心にイベントへ参加してきました。だからこそ、推しとの距離感や他人との比較に左右されることは少なかったです。

自分の場合、「ヲタ芸を打てれば満足」。
もし思うように打てなかったとしても、「何が悪かったのか」「どう改善できるか」を考える楽しさがありました。つまり、評価の軸を“他人”ではなく“自分”に置いていたのです。

さらに、予想していなかったパフォーマンスを見れたり、思いがけない曲が流れた時の喜びは計り知れません。
そういった“偶然の幸せ”があるからこそ、現場を続けてこられたのだと思います。

ネガティブにならないための3つのコツ

では、どうすればネガティブにならずに推し活を「生活のハリ」として楽しめるのでしょうか。
自分の経験から、3つのポイントをお伝えします。

① 期待をしすぎない

人はどうしても、過去の最高の瞬間を基準にしてしまうものです。「前回が神イベだったから、今回もきっと!」と期待を高める。
しかし、推しも人間。イベントも生もの。
同じ感動が毎回続くわけではありません。

だからこそ、自分はイベント前に“期待値をリセット”するようにしています。
「今日の現場は今日の空気で楽しむ」この意識を持つだけで、満足度は驚くほど上がります。

特に、ワンマンライブや周年イベントなど「特別」と思ってしまう日は要注意です。
特別視すればするほど、期待が膨らみ、少しの違和感が“失望”に変わってしまいます。
あえて気持ちをフラットにしておく。それが長く推し活を続けるコツです。

② 喜びすぎない

意外かもしれませんが、「喜びすぎない」ことも大切です。

たとえば、推しとの会話がいつもより盛り上がった、想定外の神曲が聴けた。
もちろん、それは素直に嬉しいことです。
でも、その高揚感をいつまでも引きずると、次のイベントで“物足りなさ”を感じてしまう。

「前回あんなに話せたのに、今日はそっけない」
「この前のセトリの方が良かった」
そうやって喜びを基準にしてしまうと、普通の幸せが“マイナス”に感じられるようになります。

嬉しさは嬉しさとして、その瞬間で完結させる。
次に持ち越さない。それがメンタルの安定につながります。

③ 体調を整える

最後に、見落とされがちなのが“体調”です。

平日は仕事、休日はイベント。
このリズムを続けると、気づかぬうちに疲労が蓄積していきます。「今日はちょっと体が重いな」と感じた時こそ、無理せず休む勇気が必要です。

体調が悪い状態だと、普段なら気にならないこともイライラしたり、ネガティブに見えてしまうもの。自分もかつて、「この現場なんか微妙だな」と感じた日がありました。
後で思い返してみると、単に寝不足で集中力が切れていただけでした。

心が疲れていると、推しの表情すら曇って見えてしまう。だからこそ、イベントに行く前に「今の自分の状態」をチェックすること。それだけでも現場の楽しみ方は大きく変わります。

ネガティブな時代をどう生きるか

最近は、現場で楽しそうにしているヲタクが増えた一方で、SNSではネガティブな言葉が溢れているように感じます。「推しが冷たかった」「最前のマサイがウザい」「運営が悪い」。

でも、SNSは現実のほんの一部です。
愚痴が目立つのは、愚痴が「拡散されやすい」から。だから、他人の不満を真に受けすぎないことが大切です。

推し活は、自分のためにある。

推しのためでも、他人の評価のためでもなく、『自分の心が前を向くための活動』である。
それを忘れなければ、どんな現場でも“生活のハリ”に変えられます。

おわりに

おわりに

ヲタクの世界は、思っている以上に繊細で、感情のアップダウンが激しい場所です。それでも、自分の中で軸を持ち、コントロールできる範囲を見極められれば、推し活は人生の支えになります。

誰かの言葉や結果に左右されるのではなく、「今日も生きて、推しに会える」その事実こそが、何よりの幸せです。

どうかこの文章を読んでくれた方がネガティブに沈むことなく、推し活を通じて少しでも毎日にハリを感じられますよう願っております。
最後までご覧頂き、ありがとう御座いました。

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