イベント考察

ヲタクは隠すものだった──それでも自分がヲタクを続けてきた理由

イントロダクション

きっかけは駅前の広告から
少し前、、名古屋駅前を歩いていたところ、水樹奈々さんのライブ映像が大画面で広告として流れているのを目にしました。

この光景を見て、思わず立ち止まりました。というのも、20年前からヲタクをしていた人にとっては、これはとても信じがたい光景だからです。個人的にも、まさか駅前のど真ん中で堂々とアニソン系アーティストの映像が流れる時代が来るとは思ってもいませんでした。

20年前、自分もオタクとして活動はしていましたが、それを周囲に伝えることはなく、仲間を作ることもせず、SNSも使わず、淡々と現場に通っていたことを思い出します。

今でこそ「推し活」は一種の文化として認知されるようになりましたが、昔からヲタクを続けている人の中では、「それを公言するか、秘密にするか」というテーマは、いまだによく話題になります。

かつては言えない時代だった


現在ではオープンに語れるようになったヲタ活ですが、ほんの十数年前までは、堂々と話せるような時代ではありませんでした。

「仕事に影響があるのではないか」
こういった声を、当時ヲタクをしていた人なら一度は聞いたことがあると思います。

社会人になる前、学生の頃からすでにアニメやアイドルが好きだというだけで異質な目で見られることがありました。
たとえば、自分が中学生だったころ。エヴァンゲリオンが社会現象となり、テレビや雑誌などで頻繁に特集が組まれていたにも関わらず、学校でエヴァの下敷きを使っているだけで奇異な目で見られることがありました。今でこそ考えられないことですが、当時はそれが当たり前だったのです。

自分は“隠す派”


そんな経験もあってか、自分は今でも「ヲタクであることを周囲に伝えない」スタイルを貫いています。
理由はシンプルで、その方が活動しやすいからです。

私は会社員として働いています。最近では働き方改革が進み、社会全体としてもかなり柔軟な環境になってきました。
しかし、自分がヲタク活動を始めた20年前は、まだまだ働きづらい時代であり、理解のない職場も少なくありませんでした。

当時最初に入社した会社では、上層部にアニメ好きな方がいらっしゃいました。
その方は非常に仕事ができ、人柄も素晴らしい方でしたが、アニメ好きというだけで部下からいじられることが多く、それを見ていた自分もまた、「ヲタクを公言すること」のリスクを感じたものです。

過去には少しだけオープンにしていた時期もありましたが、ヲタ芸を始めてからはより一層真剣になり、公言することも少なくなっていきました。
周囲からの雑音を遮断し、自分の趣味と向き合いたいという思いが強くなったのかもしれません。

実際、ヲタクであることをあえて明かさなかったことで、活動が制限されることもなく、当初の目標はすべて達成できましたし、明かしていなかったことで助けられたことも少なくありません。

時代はオープン化へ


とはいえ、最近はヲタクをオープンにする風潮が強まってきています。
中には、自分の趣味を積極的にネタとして発信する人も少なくありません。

個人的な印象ですが、以前は「アイドルヲタクはオープン」、「アニメヲタクはクローズド」という傾向があったように思います。
しかし、今ではその境界もかなり曖昧になり、ヲタク全体が社会に認知されるようになってきています。

電車の中で、推しのチェキをキーホルダーに入れている方を見かけたり、スマートフォンの背面にチェキを挟んでいる方を見かけたりすることも珍しくなくなりました。
SNSの普及も後押しとなり、X(旧Twitter)、Instagram、TikTokといった媒体を通じて、ヲタ活はどんどん可視化され、共有されていっています。

ヲタクが“当たり前”の世の中へ


このような社会の流れを見るにつけ、今後はさらに「ヲタクであることが普通」である時代が進んでいくのではないかと感じています。

かつては隠すべきとされていた趣味が、今では胸を張って語れるものへと変わってきました。
そしてこれから、どのような驚きの展開が待っているのか。
ヲタクという趣味がオープンになった社会が、どのように変化していくのか。

今後もその変化を楽しみにしながら、自分なりのスタイルでヲタク活動を続けていきたいと思っています。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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