ヲタク考察

情報がなかった頃のワクワクを、今も自分は覚えている〜ヲタクの時代変化と、変わらない気持ち〜

イントロダクション

かつて、ヲタクであることは「隠すもの」でした。
自分もまさにその時代を生きてきた一人です。学校や職場で堂々と趣味を語ることは難しく、好きなものは心の内にしまい、同じ趣味を持つ人とは限られた場所でのみ繋がる。そんな空気が当たり前の時代でした。
当時は、今のようにインターネットが当たり前に存在していたわけではありません。情報源といえば、雑誌かラジオが中心です。アニメやアイドルといったコンテンツは、テレビというメディアから距離を置かれることも多く、いわば「主流ではない文化」でした。
月刊アニメ雑誌を毎月楽しみに待ち、数ページのイベント情報から当日の様子を想像して胸を高鳴らせる。
どんな会場なのか、どんな人が集まるのか、どんな熱気があるのか。限られた文字情報を頼りに、想像力で世界を広げていました。
情報は圧倒的に少なかったですが、その不足分を埋めていたのは、間違いなく「情熱」だったと思います。
それは年齢や性別を問いませんでした。
ヲタク歴が浅い人も、長い人も、若い人も年配の人も、同じ熱量で現場に立っていました。むしろ、ある程度年齢を重ねてからヲタクになった方の情熱に、圧倒された記憶すらあります。
「好き」という気持ちが、年齢を超えて人を突き動かす。その力を、現場で何度も目にしてきました。

しかし、時代は大きく変わりました。
今は、情報があふれる時代です。主な情報源はXをはじめとしたSNSで、調べようと思えば、ほとんどの情報が即座に手に入ります。イベント情報、出演者、時間割、混雑状況、さらには現場の空気感までもが、リアルタイムで流れてきます。
人と人との距離も、以前とは比べものにならないほど近くなりました。
ある程度関係性ができていれば、チェキを依頼することも珍しくありません。
グッズも、公式通販だけでなく、フリマアプリを利用すれば、かつては入手困難だった限定品すら手に入る時代です。これは冷静に考えると、本当に驚くべき変化だと思います。

そして、「隠す時代」は終わりました。
今では、スマートフォンの中に撮影したチェキが入っていても、何ら不思議ではありません。
かつてのように缶バッジを大量に身につけていなくても、いくつか付けているだけで気になることもありません。
ヲタクであることは、特別なことではなく、日常の一部として自然に受け入れられています。
YouTubeを開けば、数万人、時にはそれ以上の人が同時に視聴している光景も珍しくありません。

かつては運営側だけが把握していた「人気」や「規模」が、今では見る側にも数字として可視化されています。再生数、登録者数、フォロワー数。気がつけば、運営がそれらの数字を煽る場面も見かけるようになりました。
ヲタク文化は、完全に「数字で見える時代」へと移行したのです。

ここで、一つ問いを提示したいと思います。
「人権」を得て、これほどまでに便利になった今、私たちは何を失いかけているのでしょうか。
個人的に強く感じるのは、「大衆受け」や「誰もが知っている存在」が、ほとんどなくなったという点です。
かつては、ある程度売れれば、職場や学校で名前を出せば誰もが知っている、という存在がありました。しかし今は、コンテンツが細分化され、好みはバラバラになりました。
よほど大きく成功したとしても、「全員が知っている」という状況は、ほぼ生まれません。
アイドルという文脈で考えると、その最後がAKBだったのではないかと感じています。
それに伴い、全体としての「熱量」も薄くなったように感じます。
もちろん、探せば異様なまでの熱量で追いかけている人はいます。しかし、それは少数派です。多くの人が、程よい距離感で、無理のない形で楽しむようになりました。
それ自体は決して悪いことではありませんが、かつて現場に充満していた、あの独特の濃度は、確実に減ったと感じています。
ここまで時代の変化について書いてきましたが、個人的に強く思うのは、「人は案外変わらない」ということです。
13歳の頃、自分は『Newtype』という雑誌を読んでいました。夏休み特集として、イベントのスケジュール表が付録についていたのを今でも覚えています。
関西に住んでいましたが、掲載されているイベントのほとんどは東京。学生で、遠征するお金もありません。それでも、「いつか毎週イベントに行く」と心に決めました。
その目標は、21歳のときに達成していました。
そしてそこから21年が経った今も、自分は変わらず週末にイベントへ足を運んでいます。金曜日になると、今でもワクワクします。イベントについてあれこれ考え、当日の流れを想像している自分がいます。
早々に、人は変わらないものなのだと思います。
この記事をお読みの皆様にも、きっと変わらないものがあるはずです。
もし今、何かに悩んでいたり、立ち止まっていると感じているのであれば、この文章が少しでも参考になれば幸いです。
今回も最後までご覧頂きありがとうございました。

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