イントロダクション
自分は20年以上イベント現場に通い続けてきました。これまで何万という現場を経験し、様々な人と出会ってきました。その中で強く感じるのは、「生活の基盤が安定している人ほど、推し活を長く楽しめる」ということです。
どんなに熱狂的にアイドルを応援しても、生活そのものが崩れてしまえば、その楽しみも一瞬で終わってしまいます。
推し活は、あくまで人生を彩る“プラスアルファ”であり、“本体”である生活が安定してこそ輝くものです。
では、どういう人が生活を崩しやすいのか。自分の見てきた例を交えながら、いくつかの傾向をお伝えします。
年齢を重ねてからのスタート
意外かもしれませんが、大人になってからアイドルにハマる人ほど、熱量が極端になりやすい傾向があります。若い頃にあまり恋愛をしてこなかったり、ライブやイベントの熱気に触れる機会が少なかった人ほど「こんなに楽しい世界があったのか!」という衝撃を受けて一気にのめり込んでしまうのです。
最近ではチェキや接近戦でアイドルと話すことができるのでそれに驚く方も多いです。
最初は週1回の現場参加だったのが、気づけば毎週末フル遠征。給料の大半を特典会や交通費につぎ込み、最終的には体力もお金も尽きてしまう。そんな方を数多く見てきました。
自分自身も25歳のときにヲタ芸を始めたのですが、幸いだったのは“ガチ恋”にならず、あくまでパフォーマンスの一部として楽しむという距離感を保てたことです。
感情の方向をうまくコントロールできれば、年齢を重ねてからでも長く続けることができますが、恋愛感情と混ざると一気に生活を崩してしまう危険があります。
お金に余裕がある人も油断は禁物
これも意外に思われるかもしれませんが、経済的に余裕がある人ほど破綻しやすいというケースもあります。
「自分はお金に困っていないから大丈夫」と思っていると、際限なく支出が膨らみ、気づけば何十万円も使っていたということが起こりやすいのです。
特に注意したいのが、目的もなく貯金をしてきた人や、遺産・退職金などでまとまったお金を手にした人です。
「今しかない」「この子を支えたい」と思うあまり、一気に使ってしまう。その瞬間は確かに満たされるのですが、後になって冷静になると後悔の方が大きいこともあります。
推し活で使うお金には“上限”を決めておくことが大切です。自分は月ごとに「推し活予算」を決め、使う金額を見える化しています。こうすることで、精神的にも安心感が生まれ、後悔しない使い方ができます。「お金のコントロールができない人は、感情のコントロールも難しい」。これは多くの現場で見てきた事実です。
性格的に向いていない人も存在?
残念ながら、推し活が“依存の対象”になってしまう人もいます。
これは本人の意思というより、性格的にハマりやすいタイプであることが多いです。
ギャンブルと同じように、推し活にも「快感」と「報酬」がセットになっています。
推しに褒められた、名前を覚えられた、チェキのコメントで一喜一憂する―こうした体験が脳内に強い刺激として残り、「もっと」と求めてしまうのです。
多くの人はある程度のところでブレーキをかけられますが、依存傾向の強い人はそれができません。結果として、仕事を辞めて遠征を続けたり、借金をしてでも現場に通うようになってしまう。
もし自分の中で「やめたくてもやめられない」と感じたら、早めに一度距離を取ることが大切です。“距離を取る勇気”も推し活の一部です。好きだからこそ、一歩引いて見守るという選択が、長く続けるための鍵になります。
趣味は実生活が充実してこそ
自分がこれまで見てきた中で、一番長く現場に通い続けている人たちは、例外なく「生活が整っている」人たちでした。仕事をしっかりこなし、睡眠や食事にも気を使い、家族や友人との時間も大切にしている。そのうえで、空いた時間やお金を“推し活”に使っているのです。
推し活は本体(生活)があってこそ成り立つオプションです。本体が壊れてしまえば、オプションは機能しません。疲れ切った状態で現場に行っても楽しめませんし、金銭的に苦しい中で無理に通っても、推しの笑顔を素直に喜ぶことができなくなります。
自分がこれまで続けられた理由を振り返ると、やはり「生活を優先してきた」ことが大きかったと思います。仕事をしっかりこなしてから現場に行く。食事・睡眠・体調管理を怠らない。そうした“基盤”があるからこそ、推し活を思いきり楽しめるのです。
推しの幸せの前に、自分の幸せを考える
「推しのために頑張る」という気持ちはとても素敵です。しかし、推しの幸せを願う前に、自分の幸せを守ることが大切です。疲れた顔で無理して現場に行くより、心身ともに余裕を持って笑顔で会いに行く方が、推しもきっと嬉しいはずです。
推し活は競争ではなく、自分自身の人生を豊かにするための行動です。
生活を整え、自分のペースで無理なく楽しむ。その積み重ねが、結果的に一番長く続けられる形なのだと思います。
おわりに
推し活を長く続けるためには「生活の基盤を守る」ことが何より大切です。
年齢を重ねてからハマる人も、お金に余裕がある人も、性格的にハマりやすい人も、まずは生活を整え、自分を大切にすることを意識してください。
本体である“自分の生活”をしっかり守り、その上で“推し活”というオプションを楽しむ。
この順番を間違えなければ、推し活は人生を豊かにしてくれる最高の趣味になると思います。
今回も最後までご覧頂きありがとう御座いました。

