イベント考察

推しに“期待しない”という優しさ──心が軽くなる推し活について解説

イントロダクション

先日、屋外イベントに参加しました。
天気予報では「曇りのち晴れ」と言われていたのですが、いざ現場に着くとポツポツと雨が降りはじめ、空模様は不安定。傘を持って行くか迷うような空でした。

そんな中で自分が意識していたのは、「晴れることを期待しない」ということでした。結果的に小雨が降ったものの、イベントそのものが楽しく、天気のことなどすっかり忘れていました。

この経験を通じて改めて感じたのは、イベントに臨む上で“期待しない”ことの大切さです。
天気に限らず、イベントの内容、演者との会話、推しの言葉や態度―それらに過度な期待をしないことが、結果的に自分を守り、長く楽しむ秘訣になると感じます。

なぜイベントに来なくなるのか

ヲタク活動を長く続けていると、「久々に現場に戻ってきたヲタク」と再会することがあります。
彼らの多くが口にするのが、「久しぶりに来たら、やっぱり楽しいね」「また来ようかな」という言葉です。

一見ポジティブな発言ですが、その裏には「以前は楽しめなかった」「期待が外れた」「あの時、何かが合わなかった」という記憶が隠れていることもあります。

実際、「やればできるけどやらない」「行こうと思えば行けるけど行かない」という状態に陥る原因は、心が傷ついた経験や“期待が外れた”出来事の積み重ねであることが多いです。

「今回は推しともっと話せると思ったのに、そっけなかった」「好きな曲がセトリに入っていなかった」「想像していた雰囲気と違っていた」

こういった“小さなズレ”が何度か重なると、知らず知らずのうちに心が離れていってしまう。
そうして現場から足が遠のく人を、自分は何度も見てきました。

推しとの関係も「期待しない」ことでうまくいく

この“期待”というものは、イベントだけでなく推しとの関係性にも大きく関わってきます。

特に最近は、SNSや特典会などで推しとの距離が非常に近くなり、簡単にリアクションを受け取れる時代です。だからこそ、ほんの小さなすれ違いや言葉のトーンで、気持ちが揺れてしまう人が増えています。

たとえば、
・前回は笑顔で話してくれたのに、今日は淡々としていた
・SNSでいいねをもらえなかった
・他のファンと話している時間が長く感じた

こういった場面に直面した時、心のどこかで「自分だけ特別でありたい」という期待を抱いていると、たちまち心が沈みます。

でも実際のところ、推しも人間です。
体調やコンディション、気分、イベントの流れによって反応が変わるのは当然のこと。毎回“最高の対応”を求めることは、推しにとっても自分にとってもプレッシャーになります。

だからこそ、「推しに期待しない」ことは、推しを信じることでもあると感じます。「今日は疲れてたのかも」「機嫌が悪い日もあるよね」
そうやって“人としての幅”を受け止められるようになると、関係がとても穏やかで、長続きします。

イベントを「非日常」ではなく「日常の一部」に

昭和から平成、そして令和へ。
アイドル文化やイベントの形は大きく変化してきました。以前は「一年に一度の大きなライブ」が中心でしたが、今は週に何度もイベントがあり、推しと会う機会が増えました。

この変化によって、イベントは“特別な日”から“日常の一部”へと変わりつつあります。

しかし、それに伴って「毎回、前回以上の楽しさを求めてしまう」人も増えました。それがプレッシャーとなり、楽しかったはずの推し活が“評価の場”になってしまうこともあります。

本来、推し活は「癒し」や「生活の一部」であるべきものです。
無理に高揚感を求めたり、常に完璧な時間を期待するのではなく、“今日は今日でよかった”と受け止める柔らかさが大切です。

特別な奇跡を期待するよりも、推しが今日もステージに立ってくれたこと、イベントが開催されたことに感謝する。それだけで、心はずっと軽くなります。

変化の多い令和を生きるために

令和の時代に入り、アイドル業界の環境も目まぐるしく変化しています。グループの突然の解散、活動休止、翌日に卒業発表―そんな出来事が当たり前のように起こる時代です。

そんな中で「推し続ける」ことは、以前よりも難しくなっています。だからこそ、“期待しすぎず、その瞬間を楽しむ”というスタンスが重要になってくるのです。

「次もあるから」と思っていたら、次がなかった。
「まだ大丈夫」と思っていた推しが、突然いなくなった。

そんな経験を経て、「あの時、もっと楽しめばよかった」と後悔する人も少なくありません。
でも、もし最初から“次があるとは限らない”と思ってその瞬間を大切にしていれば、後悔は減ります。

期待しないことは、今を味わうこと。
それが結果的に、一番濃く、長くヲタクを続けられる方法だと思います。

心の温度を一定に保つ

期待をしないことの最大のメリットは、心の温度が安定することです。

イベントが最高だった日も、少し物足りなかった日も、心が大きく揺れない。
「今日はこんな日だったな」とフラットに受け止められる。
その積み重ねが、推し活を“長く楽しむ力”につながります。

テンションを無理に上げない。
悲しみを無理に抑え込まない。
そのバランスが取れていると、推しとの距離感も自然に心地よくなります。

期待しないことで失うのは「一時の高揚」かもしれませんが、代わりに得られるのは「長く穏やかに楽しめる心」です。

おわりに 期待しないことで、心が自由になる?

期待しないというと、少し冷めて聞こえるかもしれません。でも実際には、「依存しない」ことで「自由に楽しめる」ようになるのだと思います。

推しを大切に思う気持ちと、期待を手放すことは両立できます。
「今日も会えて嬉しい」
「今日も元気そうでよかった」
そのくらいの距離感でいると、心は驚くほど軽くなります。

推しに何かを“してもらう”ことを期待するのではなく、“存在してくれることそのもの”を喜べるようになった時、推し活は一段深いものになります。

無理をせず、焦らず、期待を手放しながら、自分のペースで推しを楽しむ。その穏やかさこそが、長く続けるための最大の秘訣です。

どうか「期待しない」という優しさを持って、これからの現場を楽しんで下さい。今回も最後までご覧頂きありがとう御座いました。

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