ヲタク考察

「自分だけは病まない」と思うオタクほど、静かに壊れていく理由を解説

イントロダクション

先日、「ヲタクで病む人の特徴」という内容をツイートしたところ想像以上に大きな反響をいただきました。
それだけ、多くの人が「自分は大丈夫だ」と思いながらも、心のどこかで不安を感じているのかもしれません。

自分だけは病まない。
言い換えると、「自分は強い」と思っている人ほど、知らず知らずのうちに陥る罠があると感じます。

自分はこれまで長くオタクとして活動してきました。ライブ会場やイベント現場で数えきれないほどの人を見てきましたが、今でも忘れられないのは、「まさかあの人がいなくなるとは」という瞬間の数々です。
いつも最前でライブをみていた人、現場を盛り上げていた人、誰よりも推しを支えていた人。
そうした人ほど、ある日突然いなくなることがあります。

その理由はさまざまですが、共通して感じるのは「過信こそ崩壊の始まり」だということです。「イベントが楽しい」「推しとの関係も良好」「もう3年も続けているから大丈夫だろう」そう思っている時ほど、実は危ない。

「当たり前」になるほど依存は深まる

人間は、日常において“当たり前”と感じるものほど強く依存します。毎週のように現場に行き、推しのSNSをチェックし、グッズを買う。それらは日常の一部であり、心の支えにもなっていると思います。

しかし、その「当たり前」が突然なくなった時、人は思った以上に心を失います。
グループの解散、推しの卒業、活動休止。
どれもいつかは訪れるものですが、それを受け入れられず、心が折れて戻れなくなる人を自分は何度も見てきました。

病むオタクに共通する3つの傾向

そうした中で、自分が感じている「病みやすくなる要因」は、大きく3つあります。

1.年齢を重ねるほど依存度が高くなる
2.喜びが大きい人ほど落ち込みも深い
3.どれだけ用心しても完璧な人はいない

順番に説明していきます。

① 老いは依存度を高める

まず1つ目は「年齢」です。年を重ねるほど、人はどうしても保守的になります。
特に会社員など、日常に大きな変化が少ない人ほど、趣味や推し活に“刺激”を求める傾向が強くなります。だからこそ、推しがいることが日常の支えになりやすいのです。

しかし、そんな支えがある日突然なくなった時、たとえば推しが卒業したり、グループが解散したりすると、その反動は想像以上に大きなものになります。長く推していた人ほど、その存在が自分の生活の一部になっているため、心にぽっかりと穴が開くような喪失感を味わうのです。

また、年齢を重ねるほど新しい現場に飛び込むエネルギーが減っていきます。
「また新しいグループを探そう」「別の楽しみを見つけよう」と思えず、そのまま現場から離れてしまう人も少なくありません。そうして、いつの間にかオタクとしての自分も静かに消えていく。そんな光景を、何度も目にしてきました。

② 喜びが大きい人ほど、いなくなる

2つ目は「喜び」です。推しとの間で嬉しい出来事があったり、特別なコメントをもらえたりすると、心は大きく動きます。その瞬間の高揚感は、まさに“生きがい”そのもの。
しかし、感情が大きく動くということは、それだけ落ち込む時も激しいということです。

推しの反応がなかった時、期待していたイベントが中止になった時、想像していた未来と違う現実を見た時。
喜びの反動として、深い落ち込みが訪れます。感情の振り幅が大きい人ほど、そのギャップに心が耐えられなくなる。これは、自分がこれまで見てきた中で最も多いパターンです。

「幸せの大きさと、悲しみの深さは比例する」これは、オタク活動においても本当に当てはまると思います。

③ 完璧な人なんていない

3つ目は、「どれだけ用心しても、完璧な人はいない」ということです。どんなに強く見える人でも、どれだけ計画的に動ける人でも、予想外の出来事には勝てません。自分もそうでした。

コロナ禍の時、まさかイベントそのものがすべて中止になるとは夢にも思いませんでした。
あの頃は本当に心が折れかけました。「もう現場がないなら、自分がオタクでいる意味はあるのか」とまで考えたほどです。

人は誰でも、想定外の出来事には弱いものです。だからこそ、「自分は病まない」と過信せず、常に“もしもの時”を意識しておくことが大切なのだと思います。

病みを防ぐ唯一の方法は「動き続けること」

結局のところ、病まないオタクなどいません。どれだけ用心しても、どれだけ前向きでも、ふとしたきっかけで心は揺らぎます。

では、どうすれば長くこの世界を楽しみ続けられるのか。自分が意識しているのは、「挑戦をやめない」ということです。年齢を重ねると、どうしても新しいことを始めるのが億劫になります。
でも、立ち止まることこそが、一番のリスクだと感じています。
自分の場合、意識的に続けているのは次の3つです。
・トレーニングを続けること
・現場に足を運び、空気を感じること
・自分の過去の行動を振り返ること

これらを繰り返すことで、気持ちのバランスを取り戻しやすくなります。
特に「振り返ること」は大切で、自分がなぜこの趣味を始めたのか、何に惹かれていたのかを思い出すことで、初心を取り戻せます。

おわりに

「自分だけは病まない」と思う人ほど、気づかぬうちに危険な状態に近づいています。
だからこそ、自分も常に気をつけています。病むことは弱さではありません。それだけ真剣に推してきた証拠でもあります。

ただし、その中で大切なのは「立ち止まらないこと」。
現場に行くこと、誰かと話すこと、体を動かすこと。そうした小さな行動が、心を支える力になります。

今回の記事が、少しでも誰かの参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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